目クソ鼻クソ対決 その13

仕事シーズン2・上

目クソ鼻クソ対決 その12(前回の記事)

 上田が入社してから3カ月が経とうとしていた。弊社はパートにやってもらう仕事は簡単な内容のものが多く、本来3カ月もあれば大分慣れてテキパキ出来るようになっていなければならない。だが、さすが面接にクロックスもどきを履いて来ただけのことはある上田は、3カ月経っても「昨日入った人ですか?」レベルの仕事しか出来ておらず(つまり、ほとんど出来てない)、更に未だに包帯もこれ見よがしにグルグル巻きだったため、色んな意味で改善が全く見込めないままであった。

 転機

 何回も書いているが、F社との契約により増えた仕事は既存のパートタイマー(特にB)がやりたがらない(頼むと嫌な顔をする)ためワイがやるしかなくなっていた。和田さんに関しては週3日しか来ない上に大して物覚えも良くなく、更に半自動成形機の仕事がある日はそちらに入ってもらう事が優先されるため、あまり当てにならなかった。
 そんな状況の中で上田という人間が入って来たせいで、やる気のない彼女の指導も更に加わりワイは疲れ果てており、その事に関して工場長のXに愚痴る事が多くなっていた。このままでは精神がやられるし(もうやられてるんじゃ・・・)、ろくに仕事しない人間を入社させておきながら「人が増えたから金がかかる」と言ってまた仕事を増やしにかかる(この件については上田の話が終わった後に書きます)クソ社長に、ワイは辟易していた。更に、既存のパートタイマーが全く協力的ではないことも合わせて愚痴った。
 もちろん上田が働かない事によるワイへの負担は、Xにも影響して来る。何かといえば納期遅れの問題である。前社長時代は納期遅れはほとんど出さない弊社だったが、今の社長になってからはキャパを考えずに仕事だけ詰め込まれ、納期遅れがぽつぽつと出るようになってしまった。納期遅れは催促の電話が取引先から来るため、これも中々のストレスであった。
 ある日、いつものようにXと愚痴っているとXが意を決したかのように「女性陣の会社内での役割分けようと思うんだけど」と言って来た。こんなんでも一応彼は工場長なので、弊社の細かい事に関しては決定する権利を社長から与えられていた。そのXの案というのが

・今弊社で取引しているK社、U社、F社のうち、F社の製品のみをワイと和田さんで担当して、残りのU社、K社はパートタイマーのAさんとBと上田の3人で担当してもらう。
・上田は3人組に入るので、上田の指導をパートタイマーB(Aさんは上田よりも早く帰ってしまうので)にやってもらう。
・3人組の仕事に関しては、自分たちでやる順番や采配などを考えて行う(ワイは関与しない)。

というもの。この案を聞いてワイは「良いんじゃないか」と即座に思った。問題は本人たちが了承するかだが(つったって、そもそも仕事を選り好み出来るのがおかしいんだが)これは大丈夫だと確信した。上田が3人組に入ってもパートタイマーBは難しく考えないだろうし、休憩時間は上田とウ〇コ座りで仲良くタバコ吸ってるみたいだし、年齢も近い。何よりも「上田を指導する権利が与えられる(指示を聞かない人間を指導する難しさを知らない)」のをセットにすれば、Bは喜んで引き受けるだろうと踏んだのだ。
 なにせ日頃からパートタイマーBは年下のワイに指導されるのが気に食わないらしく(つったってワイの方が入社早いしほとんどノーミスだし一応主任だし、ツテで勝手に弊社に来たのはお前だし)ワイがものすごく気を使って接しているのを良い事に悪態をつきまくってきた経緯がある。更に自己顕示欲が強く、目立ちたがり屋でマウントも酷かった(実力は伴っていない)。そんな中、大嫌いな腹痛のシメジからの指導から解放されて自分たちで好き勝手やれる上に上田の指導まで出来るのである。浅はかな考えのBが手放しで喜ぶのが目に見える。
 ワイがこのXの案に賛成すると、Xは珍しく「明日、3人集めて俺から話す。社長には今度来たら一応報告する」と言った。そして「もう、そうすることに決めたから」と、初めてと言って良いくらい自分の意思をはっきりと表明してきた。・・・今までこんな事1回もなかったのに、急にどうした?大雪でも降るんか??まぁたぶん、傍から見てもあまりにもワイだけに負担がかかりすぎていたのが良く分かったのだろう。
 翌日、Xは珍しく自分の宣言通りに3人を集めてこの話をした。その時のBの様子をXに聞いてみると、「上田さんの指導はBさんに頼みたい」と言ったとたんにニチャ~と笑いながら嬉しそうに「え?私?仕切ってもいいの?ww」と言っていたとの事・・・頭の中お花畑かよ。

 こうして、新体制での仕事が始まった。Bはワイが彼女らの指導や仕事の采配をしないと決まったのがよっぽど嬉しかったのか今日1日とても機嫌が良く、ワイに対しての舐め切った態度は薄まっていた。だが、これがパートタイマー同士の醜い争いに発展していくなんぞ、この時は誰も思っていなかったのである・・・次回へつづく。

 

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