すでに奴はそこにいた その1

仕事

 私は、会社の人間の中で2番目に勤続歴が長い(社長除く)。では、私より先にいたのは誰か。それはX(仮名・男性)である。私より5歳くらい年上で、会社創業当時からのメンバーらしい。私が入社した頃は、彼はまだ製造担当の平社員であった。問題なのは、この男、性格にかなりの難ありだったのである。

エアコン問題

 今から20年近く前の入社日、私は社長の嫁と共に仕事中のXの元に行き、挨拶を交わした。第一印象は「なんか大人しそうな人だな」だった。しかし、会社で勤務を重ねるうちに、そうではない事を知る。
 一番最初におかしいと感じたのは、夏場や冬場のエアコンについての出来事であった。Xが勤務する部門は製造=工場なので、当然空調はない。一方、女性陣の部署は検査=工場に隣接するちょっと広めの部屋。空調は付いている。
 女性陣は、午前中に10分、お昼に1時間、午後に10分の休憩を取っている(まぁ、法律だから・・・)のだが、空調が入っている季節に10分の休憩に行き、済ませて帰ってくるとなぜか空調が切られているのである(ちなみに、たった10分の為に空調を切り、直ぐにつけるのは逆に電気代を消費するため、基本はつけっぱなしである)。
 犯人は一人しか考えられなかった。Xが、女性陣が休憩に行ったのを見計らって検査室に入り、空調を止めているのである。これに、ベテランパートのHさんは「またXさんだわ」と呆れた様子である。私が来る前から、恐らく何回も繰り返されている事なのだろう。
 お昼休みも同じことが繰り返された為、結局お昼はエアコンを止めて休憩に入るという結論に達した。Xがいないと工場が回っていかないのは事実なので、皆黙ってそれを受け入れているようであった。
 そして、Xは女性陣とは一切仲良くしない人間であった。仕事は真面目に黙々とやっているようだが、例えば女性陣が朝の挨拶をしても無視、女性陣が製品に対して質問しても無視、みたいのがずっと続いていたのである。これでは仕事がスムーズに進まないではないか。
 Xがクソなのは疑いようのない事実だが、これを黙認している社長に対しても私は疑問を抱いた。「Xは仕事が出来るから」というのが理由のようだが、X1人では製品はお金にならないんだが?だがだが?社長の男尊女卑の考えがチラチラ見える、見えるぞ~。ただ、社長がこんな考えに至ったのにもワケがあるようで、この記事にもあるようにパートのババアどもの働きがとんでもなく悪かったため、社長の中で女=働かないという固定観念がしっかりと根付いてしまったようである。
 この現象は、HさんもNさんも会社を去り私が正社員として女性陣を仕切る立場になってからも続いた。

 私とXとの関係が改善された後に(この時には工場内にも空調が付けられていた)、彼がチラッとエアコン事件の話を漏らした。なぜ、エアコンを止めたのか?

俺が暑い(寒い)場所で働いてるのに、女は快適な空間で働いているから(その環境が許せなかった)

 ・・・え?頭の中にウ〇コ詰まってんのか?じゃあお前、空調が効いてる代わりに、女性のやっすい給料で働くか?というか、そういう環境にしたのは社長なんだから、文句言うなら社長に言えよ?な?
 こんな一方的なくだらない理由で、ワイは嫌がらせを受け続けるのであった。ある出来事が起こるまでは・・・。

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