企み その2

仕事シーズン2・上

企み その1(前回の記事)

 さて、身に覚えのない注文がS社から入ってきて混乱するワイとX(主にX)。社長に確認するために電話をしたXではあったが、その内容は驚きと怒りを覚えるものであった。

社員は透明人間ではない

 Xに話を聞くと、次のようなとんでもない事が分かった。

・今回発注がかかった製品はF社、L氏、社長の中ですでに「弊社が引き受ける」事に正式に決まっている。
・もうすでに弊社への金型の移管手続き(金型をF社から借りて弊社で保管・製造する事)を進めており、〇日(あんまり日にち無い)にL氏が事前に金型を持ってきてその翌日に製品の説明(製造と梱包)をするためにF社の人間が弊社に来る。
・原料と副資材(梱包用段ボールなど)は金型と同時にL氏が前日に少し持ってくる。だからF社が来る日のために色々準備しておいて?

 ・・・との事だが、これはひどいとしか言いようがない。なぜ実際にやるワイらに何も知らせないまま勝手に決めて、勝手に話を進める?注文が入って初めてワイらがその事実を知ることになるというのはおかしいし、大事な仕事の受注の話が事後報告とかありえない。しかもいつの間にかF社の人間が来ることまで決まっており、実行部隊のワイらは完全に蚊帳の外状態。存在を無視されているも同然である。
 そもそも、弊社は前にも書いたが圧倒的に人員不足である。増やされたF社の仕事はそのままワイの仕事になっている状態。おまけに仕事が増えるという事はそれに付随した仕事(電話での問い合わせや、副資材の発注など)も増えて行き、ワイはパンク状態なのにパートはそれを知らんぷりしている。キャパオーバーなのはもちろん社長にも伝えてある(ワイの意見は基本無視される)。
 もちろんキャパオーバーなのは工場長のXも一緒である。製造の方は実質Xが1人でやっているわけで、忙しすぎて手を付けられずに機械が止まっている事もしばしば。社長は常日頃から「機械の稼働率」を小うるさくXに言っていたようだが、機械が動いてないのは暇で作る製品が無いからではなく、忙しすぎて機械を動かせない状態だからに他ならない。そもそも、そんな偉そうに人に指示している社長の本拠地であるY社は、機械の台数が弊社の半分しかない。社長自身がY社で1人で機械全台数動かせるからって、なぜその2倍の台数がある弊社も同じように動かせると思うのか。頭にウジでも沸いてんのか?
 そんなキャパオーバーのXは、自分より弱そうな相手には強く出るクセに社長の前では常に従順であり、反論や弊社の現状の説明など今までも一切してこなかった。だが、今回の話は余りにも酷過ぎて、これはさすがに反論しなければ工場長としても人としてもダメでしょ。

ワイ「で、忙しくて出来ないって伝えなかったの?」
X「言っても無駄だから・・・」←そもそも言った試しがない
ワイ「事前に知らされてるならまだ分かるけど、事前に一切知らせないでS社からの注文書で知るっておかしいでしょうが。ワイが言っても効果ないのは今まででも散々分かってんだから、今回みたいな大事な事はアンタが言わないと」
X「いや・・・言っても無駄なの分かってるから・・・」←そもそも以下略
ワイ「(こいつ・・・)」


 すでにキャパオーバーなのを社長にも言わず、黙ったまま社長の言う事を素直に聞き入れるX。これってさ・・・ぶっちゃけ奴隷だよねプライドないのかよ????そもそもこいつが社長の言う事をハイハイ聞く事によって、巻き込まれるのはワイである。お前1人だけの問題じゃねぇんだよ、そんなことも分からないのなら工場長なんかやめちまえ。
 これで社長がワイに「主任昇格」の話を持ち出したワケが分かった。F社に対して見栄を張りたい、というのが恐らく1番の理由だ。平社員のワイがF社の部長や課長クラスの人間に対応してたんじゃ体裁が良くないから、という事だ。もちろん、年上だらけのパートたちの指導をやりやすいように、という理由も入ってはいるだろうが割合的に1割もないんじゃね?つまり残りの9割は「体裁のため」だ。だよね!今までワイの意見全く聞いてこなかった社長が「ワイのため」に行動起こすはずねぇですわ・・・。そしてこの「主任昇格」の話には恐らくL氏も関わっていると思われる。

 結局F社が来ることもすでに決まっており、気が重くなるワイ。新しい仕事をするのが嫌だとかいう次元じゃない、何かこう、心の底をぐっと深くえぐられるような感覚を覚えていた・・・次回へつづく。

 

タイトルとURLをコピーしました