町田にやってもらえることが何もなく、困った我々は一か八かで彼にバリ取りをさせてみる事にした。ぶっちゃけ、バリ取りはゲートカットよりも難しくコツがいる。しかし、そのゲートカットの仕事が今はない以上それしか選択肢がなく、数はこなせなくともちょっとずつでも進めれば良いや、と思っていたのだが・・・。
何でもするとは何だったのか
工場長のXが町田にバリ取りを教える。もちろん今までの町田の仕事っぷりを見てきて初めから出来るとは思っていない。ただ、きちんと教えればもしかしたら出来るかもしれないという淡い期待を込めてこの仕事を振った(正しくはこれしか選択肢がないからなのだが)。
ちなみにゲートカットやバリ取りという作業に対してマニュアルを作るのは不可能に近い。マニュアルに書ける項目は精々「ゲートが残らないようにきれいにゲートカットする」「製品を傷付けないようにバリ取りする」くらいなもので、それは恐らく大手メーカーでも同じである。大事なので何回でも書くが、ゲートカットやバリ取りは内職がするような仕事の内容なので、これが出来なければそもそもお話にならないくらいの基本の作業なのだ。
Xが町田に作業を教え始めてから30分。Xに進捗状況を聞いてみても「う~ん・・・」というお答え。まぁ、そうだよな。Xも自分の仕事があるのでこれ以上付きっきりで指導するわけにもいかず、たまにだけ見に来る形にした。一方ワイは自分の仕事をこなしつつ町田がバリ取りを終えた製品(数は出来てない)を、不備がないか調べるために検査室に持ちこんだ。2時間くらいかけて数十本しか出来ていないが、慣れるまでは仕方ない(そもそも慣れるのか?)。ただ、本数が少なくとも丁寧にやってくれていればまだ良かったのだが・・・。
再検査して分かった事は、まともにバリを取れている製品が1つもなかったという事だった。つまり、ワイが全部を手直ししなければならないっつー事です。これだったら最初からワイがやった方が早くて確実なのだが?ワイはとりあえずXに報告。Xはクビを傾げながら町田にバリが全く取れていない事を伝え、30分ほどカッターの刃の当て方や力の入れ方などを前に教えたにも関わらず再び指導。それでも町田は上手く出来なかったのである。弊社へ面接しに来た際に「何でもします」と言ったのは一体何だったのか。
そうこうしているうちにXが痺れを切らしたのか「だめだ、こりゃ」と言っていつものように町田を無視し始める。いや、イラつくのは分かるが社長への報告もなしにいきなり指導放棄とか頭沸いてんな(ちなみにXは指導放棄をするのが得意技になっている)。Xが指導放棄をして困るのはこちらである。Xが町田を指導する気がない以上、ワイが注意するしかないのだ。
しかし他にやってもらえることがない。本当はこの時点でXが社長に町田についての報告を上げるのが一番正しい選択なのだろうが、Xが自らそういった報告をした事は今まで一度もない。町田がバリ取りした製品をワイが見る→取れてない→ワイが注意しに行くという不毛なやり取りがずっと続き、その日はそれで1日が終わってしまった。これでは数千本も注文が来ているのに絶対に間に合わないではないか。ワイがやれば数千本を1日で終わらせられる。だが、他に町田にやってもらえる仕事がない。ワイは頭を抱えた揚げ句、基本的にワイがバリ取りをやり、町田にその中の少量を分けてバリを取ってもらうという、傍から見ても意味がないと思われる方法を取る以外に術がなかった。
社長は現実逃避で弊社に一向に来る気配もなく、工場長はその社長を無理矢理にでも捕まえて町田の現状を報告する義務を放棄している。これがいつもの光景なんだからおっそろしいわ。そして、そんな町田の尻拭いをするべく今日もワイは残業せざるを得ないのであった。次回へつづく。

