地獄の2カ月 その9

仕事シーズン2・上

地獄の2カ月 その8(前回の記事)

 さて町田から彼自身のお話を聞いたワイは、弊社には彼にやってもらえる仕事は存在しない事を悟る。工場長のXが社長に町田の問題点の報告を全く上げずに指導放棄と無視をし始めたため、当然ながら町田入社以降一回も弊社に来ていない(逃げてる)社長は現状を知らない。

 クソ野郎2匹

 さて、今日はXが社長に町田の事について弊社に来てほしいと電話する日だ。Xは工場長のクセに人に連絡するのが嫌いで極力避けようとする。今日も案の定いつまで経っても連絡する様子がなく、昼近くになって「電話した?」と尋ねると「あ、忘れてた」だとよ。自分にも関わってくる事なのにどうしてそんな簡単に忘れられるのか。
 こういった事が頻繁に起こるためその度にワイは呆れているのだが、「それなら腹痛のシメジが自分で電話かけたら良くね?」という意見もありそうなので一応書いておくと、本来のXのやるべき仕事をワイが率先してやってしまうと「今後もシメジさんがやってくれる」と思うのがXなのだ。そもそもワイはこの時点で単なる安月給の平社員、一方Xは「工場長」という肩書きがあり、なおかつそれに伴った手当も貰っているわけで、ワイがXの仕事を代わりにやる理由など見当たらない。ただでさえ「指導放棄」や「無視」など、工場長としての仕事やってないんだから社長への連絡ぐらい自分でやれってお話なんですわ・・・。
 たどたどしい言葉使いで社長への連絡をなんとか終えたX。社長は午後一で来るらしい。町田を今後どうするのか、継続して雇用するなら町田を指導する体制を構築しなければならないが、ただでさえ利益が少ないのに(月によっては赤字)こんな零細、しかも単純作業の指導で町田にそこまで時間とコストをかけるのは現実的ではない。実際に町田が来てからというもの、ワイとXの残業時間は減るどころか町田の尻拭いと後始末で逆に増えており、これでは本末転倒ではないか。これは普通の経営者ならきっぱりと決断しなければいけない場面だとは思うが、あくまでも決めるのは社長。ワイらに口を出す権利はないのだ。
 午後になって久しぶりに社長が弊社に来た。社長はあくまで「町田の事で話がある」としか聞いておらず、話の詳細は分かっていない。Xとワイが事務所に呼ばれる。3人で座ったものの、Xは一向に黙ったままで何も話そうとしない。社長が「町田さんがどうかした?」と聞いても「うー・・・」とか「えー・・・」しか言わない。こんな光景前にも見たぞ。何でこんな奴が工場長として威張ってんだと思いつつ、このままでは話が全く進まないので「じゃあ私が代わりに説明します」と言って、町田の弊社における現状というものをそのまま説明した。問題なのは、ワイが事情を説明する度にさっきまで大人しかったXが横から言葉を挟んできたことだ。

ワイ「機械に金具を入れるまでは出来るのですが、その後が出来なくて・・・」
X「あれじゃあはっきり言ってダメだ」
ワイ「どれだけ教えても上手く行かないんです」
X「こっちもそこまで面倒見てられない」
ワイ「こちらも自分の仕事があるので簡単な作業の指導にそこまで時間はかけられないです」
X「本当にダメだあれ」


 だぁあああぁぁあ!うるせぇんだよさっきから!!!ちょっと前まで借りてきた猫みたいに大人しかったくせに、ワイが喋ったとたんに茶々入れてくんじゃねぇぞ。・・・というか、この光景あの時と全く一緒ではないか。先ずは、お前の口から率先してその事言えや。何回でも書くが人の背中の後ろに隠れながら石投げてんじゃねぇぞこのクソ野郎。
 そしてワイは医者から言われた言葉を社長に話した。何となく予想は付いていたが社長は「発達障害って何?」と言ってきた。その後も色々質問が入ったので、次のように回答した。

・発達障害は生まれつき脳の機能が弱かったりして、私たちが「簡単」だと思っている作業が出来なかったりする。
・従来の指導方法では今のまま仕事が出来ない可能性が高い。
・もしこのまま彼を雇うのであれば、それなりの体制を再構築しないといけない。
・今の仕事内容でも彼にとっては難しい。
・発達障害である可能性が高いが恐らく本人は診察を受けておらず、診断が付いていない状態だと思われる。

・私も専門家ではないから、社長もぜひスマホで発達障害の事調べてみてほしい。

 この話を聞いて社長は腕を組んだまま「・・・う~ん・・・」と言って黙りこくってしまった。おそらく、自分が思っていた以上に町田が仕事が出来ない事が判明したためだと思われる。そして社長は言った。

シャチョ「本当は診察とか受けた方がいいのかな?」
ワイ「社長がそうした方が良いと思われるなら、病院勧めるのもアリだと思いますけどね。診断付いた方がお互いにスッキリするんじゃないですかね」
シャチョ「う~ん、もしそうするなら本人にどう言えばいいかなぁ」


 知るかよ、町田の事を良く精査せずに入社させたのお前なんだからそんな事自分で考えろよ。社長は「ちょっと考えてみる」と言って弊社を去って行った。おいおい結論の先延ばしかよこいつは嫌な予感しかしないぜ。

 しかし、この嫌な予感は当たっているどころか想像の斜め下(上じゃない)を行く展開を見せることになる。次回へつづく。



 

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