ワイの地獄 その14

仕事シーズン2・中

ワイの地獄 その13(前回の記事)

 さて、会社を辞めたい意思を社長に伝える事にしたワイ。その数日後、社長が弊社に用事があって来るという連絡が工場長のXにあったため、ワイはその時を狙って社長に言う事にしたのだが・・・。

 わずかな光

 そうと腹をくくったワイは、Xに「社長に退職の意思を伝える事」を言った。すると、Xはワイにこう言った。

X「言うのは主任の勝手だから、自由にして。俺は何も言わないから」

 このセリフ、皆さんによ~~~く覚えておいてもらいたい。確かに正論なんだが、この後こいつの頭をぶん殴りたくなるような展開になるんでね・・・。そして数日後、社長が弊社にやって来た。ワイは社長が来たのを確認すると、話があることを伝えて事務所に入った。社長は元々Xに用事があったため、Xも同席していた。

シャチョ「で、大事な話って?」
ワイ「・・・私、会社辞めようと思ってます」
シャチョ「・・・え?それまたどうして?・・・」


 ハトが豆鉄砲食らったような顔で聞いてくる社長。ワイが辞めたい理由に対して全く心当たりがない様子で草。ほぼテメェのせいだっつうのによ。Xは横で黙って聞いている。社長に理由を問われ「テメェのパワハラのせいです」と言いたいのを我慢して、ワイは当たり障りのない理由を述べた。

ワイ「今やってるEGZの3種類の製品、あれ弊社でやるのは無理です。前にも何回も言ったと思いますが、殆んど私1人でやっている状態で、パートさん達には手伝ってもらえません。あの製品が来てからというもの、ただでさえ忙しい所に納期の厳しい仕事が入って、もはや完全にキャパシティオーバーです。極端に時間が無い中で製品を仕上げようとするとミスが頻発するのは目に見えてます」
シャチョ「・・・う~~~ん・・・」
ワイ「そもそも人がいる状態じゃないと不良率が高すぎて動かせない製品を、ストッカー(工場が無人の間も、成形した製品を綺麗に並べて傷が付かないようにする機械)も持ってない弊社がやるのは無理です。このままでは私、ストレスで精神的におかしくなるの目に見えてますんで」
シャチョ「・・・でも、今まで頑張って来たのにそれを捨ててどうするの・・・?」
ワイ「仮にこのまま頑張った所で、近いうちにいずれはまた限界が来ますんで」
シャチョ「・・・う~~~ん・・・・」

 突っ込みどころ満載でワロス。そもそも「今まで頑張って来たのに」って、今までワイが頑張って来たのを全てぶち壊してるのがテメェ自身だっていう自覚が無い?人の頑張りを頑張りとも認めず、労働力だけ搾取して締め上げたのはどこの誰だよ言ってみやがれこのクソがぁ!!!・・・と言いたいのを我慢して(辞める際は穏便に済ませたいから)、更に話は続く。

ワイ「・・・なので、辞めたいと思ってます」
シャチョ「う~~ん・・・じゃあ、そのEGZの製品を他の会社にやってもらうっていうなら考え直してもらえる?」


 「他の会社にやってもらう」という、この社長にしては珍しく具体案が出て来た。いつもなら目をそらしながら「なんとかなるでしょ」としか言わねぇのにな?この、珍しく社長が具体的な案を出してきたことにワイの心は揺らいだ。そもそもこのEGZの製品が全ての元凶であり、こいつをやらなくて良いとなればワイの負担はかなり軽減される事になる・・・。だが、まだ他社でやることが確定したわけでもないし、他の会社にやってもらった所で問題は新たに発生してくるのは今までの経験則上分かっている。ワイは直ぐに返事をせずに、更に疑問を呈した。

ワイ「もし仮に他社でやってもらった所で、何か問題があった場合は弊社の責任になるのではないですか?」
シャチョ「もし仮にそうなったらY社(社長の会社)で対応しますんで・・・・・・・」


おっと、今までありとあらゆる責任から逃げて来た社長がこんな事言い出したぞ、大雪降るんじゃねぇかこれ?ワイの心は大いに揺らいだ。そしてワイはこう言った。

「ちょっと考えさせて下さい」

 今となれば、これが大きな判断ミスであった事は言うまでもない。が、当時辞めたいと辞めたくないの狭間で揺れていたワイは、社長が具体案を出してきたことでわずかに期待を持ってしまった。これがワイの悪い癖でもあるのだが、当時のワイは「性善説」を大いに信じたい人間だったのである・・・。

 この日の話し合いはここで終わった。社長は「やってもらえるかその会社に交渉する」と言って弊社を後にしたのである・・・次回へつづく。

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