転落への道 その9

仕事

会社の行き先(前回の記事)

 ワイの入院・手術が会社の皆に告知されてから引継ぎの作業が始まった。期間は約4カ月。本来ならばもう少し余裕があったはずなのだが、クッソ社長が皆への告知を渋ったせいで間に合うのか不安が募ることとなった。

こ れ は ひ ど い

 引継ぎ作業はポジション替えする所から始まった。この時点でパートタイマーの我が社での在籍期間は10年くらい。一般的に言えば「ベテラン」の域に入ってると言っても良い年数だ。基本パートタイマーは単純な作業しかやっていないのだから、10年もあれば一通りできるのが普通というものであろう。・・・が!GA!ワイがわざわざ記事にするという事は・・・?もうお分かりですね??
 さて、今の段階で我が社のパートタイマーは10年選手の態度がデカいBと、同じく10年選手の性格は優しいがBと同じく仕事には難ありのAさんがいた(彼女は性格は良いのでさん付け)。ほぼフルタイムに近い時間で働いているのがBの方なので、ワイのポジションは必然的にBが担う事となる。
 さて、我が社は優に100を超える製品を製造しており、当然ワイの頭の中にはその品番と形状、検査のかけ方まで全てインプットされていた。本来ならば製品の写真と注意事項などを載せた「作業標準書」なるものがある状態が一番理想なのだが、会社でパソコンを扱える人間がワイしかおらず、しかも会社には使えない古びたパソコン1台しかなかった。おまけに日々の仕事に忙殺され過ぎて「作業標準書」なんぞ作る暇もない(これに関してはクッソ社長が悪い)。
 ただ、そのような資料がなくとも日々仕事をしていけば品番は勝手に覚えていくものだ。100個以上の製品があったとしても、大量に出ていく製品はほぼ固定されており、例えば1年に1回しか出ない製品などはわざわざ覚えておく必要もないことを考慮すると、50製品くらいの品番さえ分かれば良いというものである。それに、常日頃からワイはパートに「品番と色番は少しずつでも覚えていってもらった方がありがたい」と、チョー下手に出てお願いもしてきた。
 引継ぎ作業開始翌日、Bが謎のノートを持参してきていた。その小さめのノートには手書きでAだのBだのCだの間隔をあけて書かれていた。何となくその正体が何なのかは予想が出来た。引継ぎは注文のある仕事をやりながら教えるという形を取ったのだが、ワイが「まずはこの仕事をやってもらって・・・」と言うと、自分が日頃から良く検査している製品にも関わらず「品番は?色番は?何号の袋にいくつ入れるの?コンテナに何個入れるの?」と続けざまに聞かれ、ワイが答えた事をその謎のノートにメモしていた。つまり、Aの欄にはAから始まる品番の詳細を書いていたのである。
 ワイは呆れてモノが言えなかった(もちろんワイは人間が出来ているので態度には出さず親切丁寧に教えたが)。これが10年選手の、人に悪態つきまくってる人間のやる事なのかと。どっちかと言えば、新人の時にやるべき事では??仕事が出来なくてもまだ性格が良いのなら救いはあるが、こいつの性格は救えないんだが?
 色々頭に疑問が浮かんでは消えた。前から品番と色番は覚えるように促しているのにやってない、そして問題なのがBがワイに聞いている仕事の内容は、かなり前に誰かが作っていった「製品一覧表」なるものに記載され、それを見れば製品の梱包仕様は分かるようになっており、その事もBには伝えている。一覧表に載っていない新しい製品などは聞いてもらっても構わないが、載っているものまでこちらに聞いてくるのだ。よく今まで生きてこれたな?そして、引継ぎ作業を進めていくうちに更にボロが出始めた。前回と同じ失敗を繰り返す、前に教えたことを覚えていない、コピー機を使用後、コピー用紙が切れていても補充しない、など。
 また音波量りを使う際、説明書も見ないで分からないままどこでもピッピッとボタンを押して、最初の設定が消えてしまった。なぜ最初に間違ってボタンを押してしまった時点で説明書見るなりワイに報告しないのか。Bは悪びれることもなく「ごめ~ん、色んな所押してたら分かんなくなちゃった~」だと。50過ぎた人間の言うセリフじゃネンだわ。
 ワイはとっても人間が出来ているので「どれどれ」と様子を見に行ったが本人がどこをいじったかその経緯が分からないんだから、それを戻すのはなかなか難しい。音波量りは精密機器なので説明書もそれなりに難しい。これはBには理解無理だわ、と思ったワイは忙しい合間を縫って、Bが退社した後に説明書を読み込みなんとか元に戻すことに成功した。翌朝Bが出勤してきて例の量りの前に座り、何事もなかったかのように量りを使いだした。昨日の事忘れてんのか?と思ったワイは「量りちゃんと戻ってる?」と聞いてそこで初めてBが「あ?あぁ戻ってるわ」と言った。人の貴重な時間を自分が奪ったという意識はみじんもないようだ。
 どうも前から思っていたのは、Bは人にやってもらうのは当たり前という感覚を持っていて、人に対する感謝の気持ちや思いやりなどといったことが欠如している。そのくせ態度がデカい(ここ大事なんで強調)。いわゆる天然とかうっかりさんではないのだ。「私が一番上じゃないと嫌なの」という感じ。さすが、バブル期にディスコでイケイケだったことを自慢できる感覚の持ち主は一味ちがうわ・・・。
 更にAさんにもワイは手を焼いていた。当然Aさんも品番などを全く覚えていなかった。「ワイが入院手術で不在」なのを前提で仕事を教えているので、分からない事はワイには聞かずに資料などで調べるか工場長のXに聞くように指示していたのに、今までの癖で分からない事があったら考えもせずに直ぐにワイに聞く事を何回も繰り返していた。さすがに仏の心を持ったワイも言っちゃうよね「ワイがいない事が前提なんだからさぁ~」って。いつも我慢してるんだからたまには許されるでしょうが。


 この後も色々あったが、ありすぎて書ききれない。ただ一つ言えることは、彼女らは新人と何ら変わりないレベルだったという事である。10年の月日が流れ、その間に業界自体が厳しくなり仕事量も増えたにも関わらず、彼女たちは成長しなかった。では、その10年の間で増えてしまった仕事の分は誰がやるのか。
 ・・・ワイしかおらんやんけ。それを横目にクソ社長もパート達も見て見ぬふりをしてきたわけだ。手伝わなければ自分たちの仕事量が増えることはない。そう、「腹痛のシメジ」に押し付ければ良いだけなんだから・・・クソがぁ~!!!

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