目クソ鼻クソ対決 その7

仕事シーズン2・上

目クソ鼻クソ対決 その6(前回の記事)

 さて、包帯グルグル巻きの上田に医者に行くように促したワイ。これで少しは事が進展するのではないか(あくまでも微レ存)と思っていたワイだったが、そう簡単にはいかない展開が待ち受けていたのである。

こいつが元凶

 昨日上田が残していった左右分けの製品はあと少ししか残っておらず、とっとと終わらせてしまいたいのもあったため朝一でワイがやった。だが、問題は上田の出勤後にやってもらう製品である。実は「何も考えなくて良く、なおかつ工具を使用しない製品」は今の時点では注文が来ていないため、ない。都合よくいつも「考えなくても良く、なおかつ工具を使わない」製品があるわけではないのだ。というか、はっきり言ってしまえば「考えなくても良い仕事」は「工具を使う」場合が多く、「工具を使わなくても良い仕事」は「考えなければならない」場合が多いということである。
 ワイは困った。本来ならば上田が会社に合わせて仕事をしなければならないはずが、現実は会社側が上田に合わせてただでさえ選択肢が少ない中から仕事を選ばなければならない。つか、ここまでの人間はそもそもこの仕事自体が向いてないと思うんだが?悩んだ揚げ句に、ワイはランナー(不要な部分)と製品をニッパーで切り離す製品を選んだ・・・というか、選択肢がそれしかなかったという方が正しい。この製品はニッパーを使いはするが、薄い製品なのでほとんど力が要らずに切り離す事が出来る。細かいので時間はかかるだろうが、ぶっちゃけ何やらせても時間かかるだろうからとにかく手持無沙汰にならなければ良いや、と半ばワイは開き直っていた。
 さて、そろそろとパート達が出勤してきた。残念ながら上田も出勤して来た。上田は机の上にある新しい製品をみて顔をしかめる。というか、一々顔しかめてんじゃねぇぞ。これではパートタイマーBとまるで一緒である。説明を始めるワイ。しかめっ面のまま説明を聞く上田。一通り説明を終えた後、ワイは「慣れてきたら速さを意識して」という事をテンプレのごとくチベットスナギツネのような目をして上田に伝えた(伝えても意味ないのは分かっていたが)。
 上田はもはや当たり前のようにとろ~く仕事を始めた。もはや早くやってと言ったり教えたりした所で本人がその気ないんだからどうしようもない。はっきり言ってしまえば、こんな状態でずっと仕事をされると他の人間の士気が下がる上に、効率は良くなるどころかむしろ悪くなってしまうのが落ちであり、正直こんな奴いない方がマシである。
 その時である、検査室の扉がガラッと勢いよく開き「お疲れ様です」という声が聞こえて来た。・・・社長である。お前何しに来たんだよすっこんでろと思ってたら、ただでさえ仕事が忙しい所へ持って来て上田のような人間に足を引っ張られてイライラしてるのに「今からひとりずつ面談しようかなと思って」だとよ。は?今まで散々弊社の事放置しておきながらなんで今さら?そもそもお前と面談することに意味ある?人の意見一切聞かないのに???しかしながらワイに断る権限があるわけでもなく、謎の面談がいきなり開始されることになってしまった。
 方法は1人づつ20~30分の面談を事務所でするというもの。順番としてはワイ→B→A→和田さん→上田→最後になぜかもう一回ワイ→工場長という事らしいのだが・・・トップバッターワイやんけ!!!という事でワイは嫌々事務所に向かった。事務所に入ると社長が座っており、机を挟んで前の席に座るように促される。本当はこいつの顔なんか見たくもないんだが・・・。そしてワイが席に着くなり社長が言った。

シャチョ「・・・え~と、上田さんはどう?」 

 ・・・「いやお前が連れて帰れや」と言いたいのを抑えてワイは言った。

ワイ「う~ん、ちょっと基本的な仕事すら出来なくて困ってます」

 そして彼女の手のケガの事、病院に行ってくれと頼んだことなども話した。すると社長が不可解な事を言い出した。

シャチョ「まぁ、病院は本人が行くって言ったんならそれで良いとして・・・で、内職で出来るものなら内職に出せば良いじゃない」

 ・・・ん?違和感を覚えるワイ。ワイは「基本的な仕事」とは言ったが「内職に出せるレベルのもの」とは一切言っていない。なのになぜこいつはワイが上田に与えた仕事が内職レベルのものだと把握している?違和感を覚えつつも「内職に出せ」部分に関してはワイの意見というものが存在するため、なぜ内職に出さないかを説明しにかかるワイ。

ワイ「納期が迫っている物を、仕上がるのが遅い内職には出せm・・・」
シャチョ「(被せるように喋ってくる)内職に出せばいいじゃない」


 ・・・おい、この面談に何の意味がある?テメェの意見押し付けるのは面談って言わねぇんだよ、このクソが。どれだけこちらの意見を言おうとしても被せるように喋ってきて押さえつけられるため、ワイは意見を言うのを諦めざるを得なかった。そもそも「上田を雇うのはお断り」だったのをテメェが勝手に雇ったのを忘れたのかこいつは。更に社長は追い打ちをかけるように言った。

シャチョ「手をケガしてるなら、手に優しい仕事させて」

 いや、基本的な事を出来ない(やる気がない)上田は放置して、なぜ周りばかりに配慮を求める?配慮する人間を間違ってねぇか?よみがえる悪夢。ワイは頭を抱えながらも、自分の意見すら押さえつけられるため仕方なく従うしかなかった。こうしてワイの名ばかり面談は一旦終わった。


 憂鬱なまま検査室に戻るワイ。「手に優しい仕事をさせろ」と言われた以上、そんなに力が要らないとはいえニッパーを使う今の仕事は止めさせなければならず、かといって左右分けのような考えなくて済む仕事も今のところはなく、「時間がかかっても検査をさせる」という選択肢しか残されていなかった・・・次回へつづく。

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