社長VS品質管理課 ファイナル

仕事シーズン2・上

社長VS品質管理課 その4(前回の記事)

 取引先での大事な定例会議を怪しげな理由で欠席した社長。それに憤りを感じるワイとK社の社員の方々。さて、どうなる?

これは勝ったとは言わない

 さて、社長と品管田中さんの攻防はその後も続いていた。Y社は会社の中が全く片付いておらず原料が外にまではみ出して置いてある状態らしく、それを前から田中さんに指摘されていたにも関わらず放置、K社の社長まで出てきて注意されたりする始末であった。問題なのは、そういう状態で仕事をやっている事を社長が全く意に介していないということだった。
 馬鹿なのかアホなのかは知らんが(たぶん両方)、この状態の何が悪いのかが全く分かっていない様子である。そのため、田中さんに注意されたことはまるでネタであるかのように面白おかしく弊社に来て喋っていた。そういう態度は他の人間には「不誠実」と捉えられる。もちろん田中さんも例外ではない。何回も指導しているにも関わらず同じミスを繰り返し、自分たちで「こうやります」と対策書に書いた事すら守られてない状態。こんなもん誰でもイラつくわ。
 そして半年が経ち、またもや例の定例会議の季節になった。Y社は相変わらずのワーストっぷりで、会議で晒し者になる事間違いなし!しかし、前回休んでしまった手前2度と同じ手は使えない。さすがに今回は出席するだろうと思っていたのだが。
 ・・・だが?・・・この展開、もうお分かりですね?今回は「ちょっと用事があって・・・」と言って、自分の嫁だけを出席させる手段に出た(嫁は普段は経理事務担当なので、ちょっと場違い)。ちょっとの用事なら出てこいや。定例会議よりも大事な用事ってそうそうないと思うのよ。用事があるならば嫁が代理で行って社長が会議に出席すれば良いだけの話。・・・こいつまたもや逃げたな。もはや普段の行動が信頼に値しないので何をやっても疑われる状態だが、自分で蒔いた種な上、今回も本当にウソだと思うわ。だってその大事な用事の内容言わないんだもんマジでクソ野郎かよ。嫁が来ちゃったもんだから、田中さんも外田さんもまたもや言いたい事が言えなかった模様。
 その日、定例会議で貰って来た資料は田中さんが作成したものだった(ワイは月曜日の朝にXが持って帰って来たものを読ませてもらった)。そこにはグラフでの不良率の割合や、過去のミスの事例、協力会社のランキングなどが載っていた。そして、一番最後のページ、あまり人が読まないであろう場所にひっそりとこう記されていた。

「なお不良の多い少ないに関係なく、人として信頼できない人物においてはそれなりの対処をします」

 今までの内容は具体的だったのに、いきなりこの最後の文だけ内容が抽象的なことにワイは気が付いた。協力会社のほとんどは定例会議を恐らく「面倒くせぇ」と思っているのでワイのように隅々まで読む人間は少ないんじゃないかと思われるが、この一文は明らかに社長に向けて書かれたものであることは確信した。ただ、社長が読むかどうか、読んでも気が付くかは疑問だが、田中さんの精一杯ギリギリの線で怒りを表現したことが伝わってきて、ワイはそんな田中さんの心境を思うと本当に気の毒で仕方がなかった。
 そんなある日、田中さんがいきなり弊社にやって来た。後ろには初めて見る誰かを引き連れている。

田中さん「こんにちは」
ワイ「お疲れ様です!」
田中さん「今日は後任を連れてきました」
ワイ「・・・?」
田中さん「私、退職することになったので・・・」
ワイ「・・・え?(マジで?)」
田中さん「(マジです)」


 本当にこんな感じでアイコンタクトを取ってしまっていた。田中さんはお別れの挨拶と後任の紹介に協力会社を回っているのであった。田中さんは「御社はしっかりやってらっしゃるので、このまま続けて行ってもらえれば大丈夫だと思います」というありがたいお言葉を残して弊社を後にした。
 その後、案の定社長から工場長X当てに田中さんの退職に関しての電話があった。社長の話によると(山本リーク)、どうもK社の人間に田中さんは相当嫌われてしまったらしく、K社に居られなくなったといった内容であった。確かに田中さんはK社では相当強引なやり方をしていたらしくそれが嫌われた原因であったようだが、それはあくまでもK社内の話であって協力会社には関係のない話のはず。それに、品質管理の面から見れば田中さんの言っている事は正しいし、少なくとも結果を出している協力会社には優しかった。
 田中さんが社長に対して色々言ったのはきちんとやってないからであり、それ以上でもそれ以下でもない。ただ、昔と違ってどの業界でも品管は協力会社に必要以上に厳しく接する(昔は私情を挟んで怒鳴りつけるような品管もいた)ことは止める方向になっており、社長はそれを逆手に取って田中さんの神経を逆なでするような事ばかりやっており、それを指摘されると山本さんと一緒に田中さんの悪口言いまくりで頭の中は小学生かよ。これを不誠実と言わずして何と言う?

 こうして田中さんは同業他社に転職してしまった。社長は今まで気を張ってたのが(あくまで気を張ってただけで実行はしてない)いきなりの展開に気が抜けてしまいこれ以降田中さんの悪口を言う事はなくなった。だが、田中さんが居なくなったことで更なる気の緩みと脳みその溶解が進んだ社長は、今まで以上の地獄をワイに見せて来るのである。

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