社長VS品質管理課 その4

仕事シーズン2・上

社長VS品質管理課 その3(前回の記事)

 田中さんの神経を逆なでしまくる社長。Y社はミスの多さはもちろんのことだが納期遅れも尋常じゃないレベルで頻発させており、それがまた田中さんだけではなくいつもは穏やかで礼儀正しい態度のK社の別社員までもを豹変させていくのであった。

約束を破られまくる気持ちをあなたは知っていますか?

 納期遅れと言うものは、特別な理由を除き(原料や金具が注文しても入ってこないなど)1週間~遅くて2週間くらいが限度というものである。逆に言えば1週間~2週間程度の納期遅れが発生しても、たまにであれば取引先も見逃してくれる。見逃してくれるのにはワケがあって、1つはある程度余裕をもって先を見越して取引先も発注をかけているという事、もう一つは正当な理由があるのであればメーカー側に理由を説明すれば分かってくれるという事である。ただ、何事にも限度っちゅーもんはあるんですわ。
 Y社は納期遅れの常習犯なのは前にも書いた。製品の大半を納期遅れにしておきながら、その状況を一向に改善しようとする様子のない社長(なぜY社が納期遅れを改善しないのかはまた別記事で書くことにするとしよう)。納期の管理と言うのは品質管理課の仕事ではなく生産管理課の仕事である。納期遅れや緊急に納品してほしい場合などは、この課の担当の外田さんと言う方から連絡が来る。
 この外田さん、ワイも何回か電話対応したことがあるし実際にお会いして話した事もある方だが、協力会社のワイらにも非常に丁寧な敬語を使い礼儀正しい。話し方も分かりやすくて的確で理性的といった印象を受ける。もちろん、怒ったりイラついた様子は今まで見たことない。Y社の尋常じゃない納期遅れに彼が遭遇するまでは・・・。
 実はY社は半年も納期が遅れている製品があった。本来、理由もなく半年も遅れるというのは、メーカー側から視察が入ってもおかしくないレベルの重罪である(ちなみに忙しくてやる暇ないというのは理由にはならないんだが、Y社の納期遅れはほぼ100%それが理由)。ただ、メーカーからの視察がY社に入らないワケは外田さんがメーカー側と交渉して謝り倒し、ギリギリメーカー工場のラインが止まらない程度まで納期を引き延ばしてくれていたからである。
 そんな外田さんの努力などはまるで他人ごとのような社長。弊社へ来ては納期遅れの事をまるでネタでも喋るかのような口調で話していた。こいつ頭おかしい。いや、お前ここで無駄話してる暇あるなら、自社の検査の所へ行って出荷の準備でも手伝ったらどうよ?
 さて、K社には年に2回開催される「定例会議」というものが存在する。これは協力会社の代表がK社に集まり、今後の仕事の見通しや状況、メーカーからのクレーム状況や今後の注意点、協力会社のランキングなどがまとめられた資料を渡され、それに沿って話が進められるというものだ。普通に仕事をこなしていればなんてことないただの会議だが、ミスを繰り返すような協力会社に取っては吊るし上げの場でしかないわけだ。どこの会社もそれが嫌だから頑張るのであって一種の抑止力にはなっていると思われる。当然ながらミスと納期遅れを繰り返すY社は常に吊るし上げ状態になっていた。それに対して弊社に来て文句を言う社長。いや、それが嫌ならおまえが頑張れよ?な?
 さて、その年の前期定例会議が近付いてきた。会議の日が近付くと、その1カ月くらい前には出欠と参加人数を確認する紙が各社に送られてくる。会議は毎回同じ月、同じような日に開催されており、開催のお知らせの紙がこなくてもその時期は推測できるようになっている。もちろん大事な会議なので、よっぽどの特別な理由がない限りは半強制出席であるという事は頭の片隅にちょっと置いておいて欲しい。
 弊社はいつものように工場長のXが出席する予定だが、今期色々やらかしてきたY社に取って今回の定例会議は過去一吊るし上げ地獄になる予定であった。・・・ん?予定だった??勘の良い方はお気づきかもしれません。そう、結果から言うと今回の定例会議、Y社は誰一人として参加しませんでした~~~激ワロス。いや、笑いごとじゃないけど。
 何と、社長は会議の紙が送られてきた直後Xに対して「ちょっと法事で出られないからY社の分も話聞いておいて」と言ってきた。ちなみにその法事というのは招かれた側ではない、主催する側だそうで。大事な事なのでもう1回書くが、定例会議は毎年同じ月、同じような日取り(該当月の第〇土曜日午後)で行われており、いつ開催されるのかは予想が付く。なので、会議と法事の予定を重ならずに組むことは十分可能であるにも関わらず、ピンポイントで会議の日に法事があるという。
 これは「法事で出られない」のではなく、「わざと会議の日に法事をぶっ込んだ」と言うのが正しい。つまり、会議から逃げたのだ。もし仮にそうではなかったとしても、そうと思われても仕方ないくらいのピンポイントで法事ぶっ込み。あのXでさえも「逃げたな」って言っちゃうレベル。あまりのバレバレっぷりで、恥ずかしくないのか?まぁ、恥ずかしくないからやってるんだろうけど。結局Xが一人で会議へと向かう事になってしまった。
 会議当日、法事で誰も出席しないY社(本当に法事なのかも最早疑わしいが)の分の話も聞くべく、Xが1人でK社へと向かった。K社の入口に着くと、出席確認のために受付に田中さんと外田さんがいた。2人とも社長に対してはうっぷんが溜まっているコンビである。田中さんは外回りが多く直接社長にも注意喚起が出来る環境にあったが、外田さんは社内に留まっている事が多く、協力会社とのやり取りは電話が主だった。そんな外田さんが唯一社長に堂々と注意を出来る日が今日だったのに、その肝心の社長はまさかの欠席。
 いつもは優しい外田さん、そんなこともあって相当イラついていたんだと思われる。Xを見るなり「Y社の納期遅れが酷くてメーカーからかなり注意されてるんですが、Y社の製品を御社で協力して成形したりしてるんですか?」と冷たい目をして言い放った。とんだとばっちりのXは「頑張ってやっています」と答えるしかなかったという。まぁ、違う会社でも同じ社長なので、実質弊社はY社と同じ扱いになってしまっているのと、外田さんの怒りはごもっともなので反論しようがない。この日は社長が不在だったので、田中さんも外田さんもうっぷんが晴らせないままだったに違いない。


 この事をきっかけにワイの社長に対する認識は「社長のくせに責任取らない卑怯な奴」という認識になった(薄々感じてはいたが)。さて、このシリーズもいよいよ終盤に差し掛かる。田中さんと社長の戦いは最終的にどういう結末を迎えるのか、次回へつづく。



 
 

タイトルとURLをコピーしました