零細はつらいよ その3

零細はつらいよ

零細はつらいよ その2(前回の記事)

 製造業は、利益を得にくい構造になっている。メーカー自体が儲かりにくい業界なのに、下請け、孫請けなんかに儲けがあるわけない。ただ、そんな業界のそんな孫請けにもおいしい時代はあったのだ。ただし、今から15年以上も前の話だけどな!


もう二度と来ない黄金時代

 こんな零細にも景気の良い時代があった。それはリーマンショックが起こる前の時代である。私の入ったころは、こんな零細でもかなりの売り上げがあった。社員旅行やら飲み会なんかも結構あった(そんなもんに金使う前に給料上げろや)。社長は零細のくせに高級車に乗っていた(10円パンチして良いですか?)。
 ただ、リーマンショック以降、そんな景気の良い話はパッタリ途絶えてしまった。
ただでさえ人の少ない会社だったが、仕事が急激に減ったと同時に、工場長の給料は減額(この人物については、いずれ詳しく書こうと思っている)され、さらに従業員2人が休みを言い渡された(事実上のクビ)。
 しかし、当時の社長(この含んだ書き方についても、いずれ詳しく書くことにする)は儲からない仕事はやらない派だったので仕事がないという日もたまにあり、その時はパートタイマーが順番に休む、という体制を取っていた。
 モノが売れないという観点から、メーカー側は品質にテコ入れするようになっていった。品質管理に関してはまた違う回で詳しく書こうと思っているが、要は今までよりも厳しくなったという事である(ざっくりだな)。ただ、社長という生き物はどうにも現場の状況を把握しない傾向にあり、リーマンショックが起こって以降の「品質に関する取引先の対応の変化」に全く気付いていなかった、もしくはうるせぇなって思っていたかのどっちかとしか思えないくらい、今までと変わらない態度を貫いていた。
 社長がそうすることで困るのは現場である。はっきりと言われたわけではないが、取引先が徐々に厳しくなっていくのを現場の私は肌で感じ取っていた。取引先からクレームが来た際に対策書などを書かなければならないのだが、社長が「なんでこんな事書かなきゃいけない」と書くのを拒否→そのまま放置→先方から催促の電話→仕方ないから適当に書く→これじゃダメです→文句言いながら更にイヤイヤ詳しく書く・・・みたいなのを繰り返していた。「まともな仕事よこさないくせに、いちいちうるさい」と文句を垂れているのを聞いた事もある。とにかく、リーマンショックが起こって以降、業界の(これは日本全体と言えるかも知れないが)雰囲気がじわじわと変わってきていたことに、社長は全く留意しなかったのである。
 この時に本来社長がやらなければならないことは、事業の見直し(会社を畳むのを含む)、戦略の見直し(今までのやり方の改善や、従業員の選定など)であったと思うが、よりによってこのまま突っ走るという方法を取ったために、会社はジリ貧の道へと歩みを進める運命となった。
 零細の社長は高齢の人も多く、なかなか考えを変えられないというパターンが多い。今までこれでやってきたんだから、というのが変えない理由である。もう一つの理由として「後継ぎがいない」というのも挙げられる。自分の代以降、会社が存続出来るか分からない以上無駄なあがきはしない、という事であるのだろう。 
 しかし、外部から従業員を募集して会社を回し、そのおかげで美味しい思いをできたこともあった以上、その言い訳はあまりにも勝手すぎるというものだ。それなら、外部から人を募集せずに身内のみで会社を回すのが正しいやり方であろう。


 ちなみに、我が社には4年くらい前までブラウン管のいつのやつかよく分かんないパソコンが置いてあった(もちろん使い物にならない)。パソコンは業務に必要ない、社長がそう判断したために創業当時からのパソコンが置物のように場所を占領していたのである。この状態が、まさしく時代に取り残されつつある零細の状態そのものを表しているようで、妙に物悲しくなった・・・。

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