一線を越えて その10

仕事シーズン2・下

一線を越えて その9(前回の記事)

 さて、社長に何か言われてゲンナリした様子のX。自業自得とはいえ、あの社長の異常なまでの怒りっぷりを見てXが何を言われたのかが非常に気になる。ワイは本日の出荷をしている際に、一緒に作業していたXに聞いたのであった。

ふむ・・・・・・

 見る限りめちゃくちゃ落ち込んでいるのが分かったので、あまりXが喋られないであろうことを悟ったワイは、簡潔に聞くことにした。

ワイ「社長、なんだって?」
X「・・・・・・次はないよ、って・・・・・・」

 蚊の鳴いたような弱々しい声でそう言ったX。その一言で全てを悟ったワイは、これ以上根掘り葉掘り聞くことは止めた。そう、前後の話の流れはさっぱり分からないが、「次に同じことをやったら、お前を辞めさせるよ?」といった内容のことをXは社長に言われたのである。Xが今までワイを含めて色々な人間に嫌がらせをしてきたのは「自分は何をやっても絶対にクビになることはない」という自信から来ていたと思われる。ところが、今回は自分の思惑とは反対の方向に物事が進んでしまったわけだ。そりゃ蚊の鳴くような声になるわな・・・。
 しかし、それで今回の事件が解決したわけではない。事の発端は「想像以上に仕事が出来ない後藤の存在」である。そもそも後藤のポンコツっぷりを社長に報告しない限り、またしても同じ流れになってしまうではないか。ワイはXにもう1つ聞いた。

ワイ「社長に後藤の事は話した?」
X「・・・・・・そんな雰囲気じゃなかった」

 えーーと、バカかこいつ。だから最初っから社長に後藤の事は報告した方が良いと散々忠告したのによ?何か起きてしまってからの報告はハードルが上がってしまう。だからこそ、何か起きる前の平常運転の時に落ち着いて問題点を報告しとけばこんな事にはならなかったかもしれないのによ?今のままでは社長は後藤のポンコツっぷりを知らないままである。そのミスを他の人間が尻拭い、Xも我慢をしながら後藤に出来もしない仕事の指示をしなければならず、みんなに迷惑かけまくってる後藤だけが仕事も出来ないくせに皆に気を使われるという、最悪な状況になってしまうではないか。
 それにしても社長も社長である。Xが言い訳を出来る雰囲気ではなかった、ということは、最初っからXにその機会を与える気がなかったということでもある。前回の記事にも書いたが、両方の言い分を聞いてからジャッジして叱る、というのが本来の正しいあり方だと思われる。もちろん「罵倒」という方法に走ったXを擁護するつもりはないが、「なぜそうなったのか」の過程の部分をすっ飛ばしていきなりジャッジするのはぶっちゃけ経営者としてどうなんだい?後藤がウソついてる可能性だってゼロではないはずなのにな?しかもXの言い訳も一切聞かずにいきなり感情丸出しで「次やったらクビ」って・・・・・・お前もXとやってること大して変わんなくて草。
 さて、今のままでは結局「Xが理由もなく後藤を罵倒した」ということだけが社長のスッカスカ脳みそにインプットされただけである。何も解決してないどころか悪化してるやんけどうしてくれんだこのハゲ。これはXだけの問題ではない。弊社の人間全員が後藤に迷惑をかけられてる以上もっと慎重に扱わなければならない問題だったのに、Xが人の忠告を無視して暴走しちゃったもんだからややこしくなってる。こじれてからの問題解決は難しいんだっつーの。
 今のしょげたXに「後藤の報告を社長にしろ」つったって、出来るわけもないし恐らく本人もやる気ないんじゃ?今までもやってこなかったのに「怒られたからじゃあ報告するか」・・・とはもっとならないはずである。今は社長もトサカに来てるはずだから今報告するのは得策ではない。人間観察が趣味のワイの見立てでは、社長は瞬間湯沸かし器型のはずだから冷めるのも早いはずである。

 Xがクソなせいで、本来は動く気のなかった自分が動かざるを得ない時が来た、ワイはそう感じていたのである・・・・・・次回へつづく。

 

 

タイトルとURLをコピーしました