目クソ鼻クソ対決 その3

仕事シーズン2・上

目クソ鼻クソ対決 その2(前回の記事)

 さて、結局雇う事になってしまった上田さんの入社日が決まった。決まってしまった以上はワイも腹をくくるしかなく、彼女が予想に反して仕事が出来る人間であるかもしれないと、自分に言い聞かせていたわけですが・・・。

働くってなあに?

 彼女の入社当日、社長は少し遅れて来るらしく自分が来るまでにタイムカードの説明や制服の貸与をワイにしてくれとの事。本当は乗り気ではないが仕事だから仕方ない。ワイは彼女が来るギリギリまで「実は仕事が出来る説」を信じるより他ない状態であった。工場長のXがワイに「上田さんが来た」と言いに来たため、ワイは彼女が待っている事務所へと向かった。
 彼女とは面接時に面識があったが自己紹介はしていないため、ワイは「ここで主任をやっております腹痛のシメジと申します。よろしくお願いします」と挨拶した。彼女は「上田と言います。よろしくお願いします」と言った。・・・ふむ、ここまでは普通である。
 ワイは彼女にタイムカードの説明と制服の貸与をした。そして彼女はワイが堅苦しくない雰囲気だったのを良い事にベラベラ喋り始めた。「あの~、ここってどんなもの作ってるんですか?」とか(いや、社長に聞いてないのかよ)、「息子に『雇ってもらって良かったね』と言われた」とか(いや、こっちは全然良くない)。まぁ、ここまでは仕事の範疇の会話であるし、彼女に来てもらったからには働きやすい環境は作りたいとは一応思っていたため、ワイもにこやかに答えた。
 だが勢いづいた彼女は、ここでうっかり口を滑らせた(本人はマズイ発言だったとは思っていない)。彼女は上記のような会話の後に「私、配送の仕事辞めてからしばらくウチで無職してたんですけど~、ずっとウチでジグソーパズルとかやってて、もう飽きちゃって、そんでこの空いた時間にちまちまと仕事でもして金稼げりゃあ良いかな~と思って。この仕事なら楽そうだし」と悪びれもせずに言いやがった。この文を要約すると「暇つぶしで楽にテキトーに仕事やって金稼ぎたい」って事です!
 はい、出た。のっけから「やる気ない」宣言。これはこの人と同じパターンですわ。ぶっちゃけ、心の中では何を思ってもらっても構わない。ワイだって常に「社長タヒね」って思ってるしな。だが、それを口に出すのは社会人としてどうかと思う(しかも初日に)。単なるパートだから「死ぬ気でやれ」などとは言わないが、そもそも人手が足りないから募集しているのであって「楽にちまちま」やられては困るわけだよ、チミ。アンタが楽してちまちまやったら、その分誰かに負担がかかる(主にワイ)。そんなことも考えずにこういう事を安易に口走る時点で、もはや「仕事が出来ない」事は確定したも同然。これが50半ばの人間が発する言葉なんだからおっそろしいわ(まぁ、パートタイマーBで実証済みだが)。さすが面接時にクロックスもどき履いて来るだけの事はある。ワイは引きつった笑顔をしつつ、内心泣いた。 
 その後、社長がやってきて皆に彼女を紹介したわけだが社長の下らん戯言なんぞワイの耳には一切入って来ず、ワイは「上田さんの事どうしよ」と考えていた。ただ前記のような発言があっても、まだ仕事をしてもらったわけでもないし仕事出来る可能性はまだある(ただし微レ存)と言い聞かせていたが、ぶっちゃけこういう人間で仕事出来る奴見た事ないから、テンション下がりまくりであった。
 上田さんには、取り合えず今弊社にある仕事の中で1番簡単であると思われる仕事をやってもらう事にした。その仕事は前に弊社にいたこの人と同じ内容の仕事であり、「折って切り離すだけ、大きすぎるランナー(不要な部分)をテキトーに切るだけ」という、多分中学生でも出来るお仕事である。これが現在弊社にあるお仕事の中で1番簡単という事は、つまりこれが出来なかったら他の仕事はもっと出来ない事になる。しかし、何回でも同じリンクを貼るが、過去にこれが出来なかった人間が存在しており、油断は禁物である。
 彼女に仕事の説明をするワイ。説明っつったって、折るだけ、テキトーに切るだけの仕事に説明もクソもないんだが、一応一通り説明。ついでに早く出来る方法も伝授する。検査するわけでも並べるわけでもないため「分からない事があったら聞いて下さい。あと最初は遅くても良いんで慣れてきたら速さを意識して下さいね」とは言っておいたのだが、彼女のやり方を見ていたら遅い遅い。何というか、一生懸命やってる感じが一切なく最初の彼女の宣言通り「だらだらちまちま」といった感じ。この製品はランナー(不要な部分)が他の製品と比べて大きめかつ太いので、ちょっと切りにくいといった所はある。しかしながら、過去においてこの人以外(リンク何回目だ)は皆難なくこなしており、なぜ彼女がこんなに遅いのかは謎である。
 ワイは彼女に「何か不都合な事はあるか」尋ねた。すると彼女は「手が痛い」と言い出した。・・・おい、これはあの人と同じパターン(同じリンク貼りすぎ)ではないか。ぶっちゃけ弊社は製造業。オシャンティーなオフィスワークではないのだ。つまり、ワイみたいにちょっとした事務や客先対応が出来ないのであれば、体を使って頑張ってもらうより方法はない。ニッパーやカッターを使う機会が多いため、みんな手にはマメが出来ている。でもそれが製造業であり、我々の仕事なのだから仕方ないのだ。
 ワイは彼女に手が痛くならないように事前に絆創膏を貼ったり、手袋を重ねて仕事をする提案をした。だが、彼女の仕事は早くなるどころか遅くなる一方であり、彼女が帰るまでの午後4時までに仕事を終える事が出来なかったのである(本来なら2時間あれば出来る所を6時間かけても出来なかった)。これはこのパターンと一緒やないかい!(リンク何回目?)


 中学生でも出来そうなこの仕事を出来ないという事は、初日にもかかわらずもはや嫌な予感しかしないワイ。このチョー簡単な製品を彼女にやってもらった事がきっかけで、事態は深刻な方向へと向かう事になる・・・次回へつづく。

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