地獄の2カ月 その14

仕事シーズン2・上

地獄の2カ月 その13(前回の記事)

 社長の最悪な選択のせいで不可抗力により残業時間が劇的に増えたワイと工場長X。それに対して体制を整えるのではなく自己努力で残業減らせと一方的に従業員にいちゃもんつけて来る嫁(ちなみに嫁は弊社へはほぼ来ない)。こいつら2人揃って現場の意見聞く気ゼロのようだ。

一体どうしろと

 一方、工場長のXはと言えば、社長の前では金型2面交互に順序良くスムーズに替える事を承諾しときながら実際はと言えば「そんなの出来るわけない」と放置していた。当然型替えが進まなくなると町田が手持無沙汰になってしまう。ワイが「何とか型替え出来ないか」とXに頼んでも「う~ん、明日じゃないと無理」とかそんな返事ばかり。
 やる事のない町田を遊ばせるわけにもいかないので、弊社で一番簡単と思われるような仕事をやらせてみても遅い遅い。これまたXに町田の指導を頼めないかお願いしてみても「オレ、あいつの事見捨ててるから」としか言わない。社長の実行不可能な計画を「出来る」と承諾したにも関わらず実際は「出来ない」と言ってやらない。そのせいで手持無沙汰になる町田に対しては無視と指導放棄。もちろん社長もその嫁もクソだがこいつも違うベクトルでクッソ野郎ですわ。
 一方の町田はといえば、自分の手元の仕事が終わった後は自分のいるブースの中を何もせずにウロウロ(実はワイのいる検査室からは町田のいるブースが良く見える)したかと思えば同ブースに置いてある工具を手に持ってじっと観察してたり。年齢60過ぎた人間がこういう行動を取るというのはやはり発達障害の可能性が高いのだと思う。
 だが、社長はそこを考慮せずにそのまま突っ走る方向に舵を切ってしまった。社長がワイらにも町田にも配慮しないのであれば、ワイがそもそも町田を「発達障害(おそらくASD)だから仕方ない」と配慮したり見逃したりする理由がないではないか。そもそも彼は推測ではあるが診断されていない。つまり、逆に言えば会社側は障害である事実を知らないまま雇用しているので障害者への配慮がない就業形態である(しかし町田の場合は面接時の言動でおかしいと分かったはずだが)。
 ワイは悩んだ。町田が好きでこんな事になっているわけではないのも分かっている。町田自身も自分でもワケが分からないままワケわからない状態で仕事をやっていると思う(ややこしい)。全ては町田が持つ発達障害由来の行動であり、町田が仕事出来るとか出来ないとかそういう以前の話なのだ。ただ何もせずウロウロしてる町田を見かねてXに「ねぇ、町田さんが出来そうな仕事はないの?」と聞いても「今はない」「俺は関係ない」「自分から聞いてこないんだから面倒見る必要はない」と言うばかり。こいつ首絞めたろかそのセリフ社長の前で言ってみろや。
 社長は今のまま強行突破しろとしか言わず(発達障害への理解もする気がない模様)、その嫁は残業代払いたくないから従業員努力でその時間を減らせと言い、Xは工場長のクセに無視・指導放棄をする。そんな中で何とか今の会社の体制を変えたいと思いながらも前記の3バカ(しかも一丁前に権力だけはワイよりある)に押さえつけられ為す術も無し。そこへ町田への配慮も加えたらワイ死んじゃうわよ(精神的に)。
 一方パートタイマーからも「あの人仕事もしないで何やってるの」という不満が出始めていた。そりゃそうだ。パートはサボっているわけではないからな、ミスの頻度が高いのと仕事を覚える気がないのとワイへの態度が酷過ぎるだけで(呪)。それでほぼ何も出来ない町田と同じような時給となれば文句出るのは当然であった。しかし、Xはそんな町田を指導する気は一切ない。じゃあ、ふらふらしてる町田を誰が指導すんの・・・ワイしかおらんやんけ。
 ワイはXに「もし町田さんが自分から何すれば良いか聞いてきたら仕事与える?」と聞いた。Xは「聞いてこればね」と言ったのでワイは町田がウロウロしてる所へ行って「手元の仕事が終わったら工場長に次何するか聞いてきてください」と言った。しかし「手が空いたら工場長に聞きに行く」という事すらままならず、彼が機械をやっている時以外は町田ウロウロ→ワイが「工場長に聞いて」→町田がXに聞きに行くというやり取りをその後何回も繰り返した。
 ある日、町田は簡単なゲートカット(プラモデルのパーツを綺麗にニッパーで切り離すような作業を想像してください。ちなみにプラモデルよりももっと単純な作業。あくまでもイメージとして例に挙げてます)をXに命じられていた。だが相変わらず綺麗に切ることが出来ずにワイも何回か指導に入ったがそれでも良くはならなかった。ワイも忙しくて町田に付きっきりというわけには行かず、1時間に1回くらいの頻度で見に行くという体制しか取れない(これでもかなりの負担)。
 このゲートカットという作業は前にも何回も書いているがこの業界での基本中の基本の作業で、これが出来ないとこの業界でやって行くのは難しい。出来て当たり前の作業なのでマニュアル化するのも難しい(仮にマニュアル化したとしても「綺麗にゲートが残らないようにカットする」くらいしか書けない)。こんな所でつまずいている人間を雇い続ける事に果たして意味はあるのだろうか。水恐怖症の人間に「水泳選手になれ」って言ってるようなものでは?(この例えで合ってるのか?)。人には「適材適所」っちゅーもんがあるわけで、少なくとも彼はこの仕事は向いていない。

 そんな考えが頭の中を支配していた時、町田が居るブースの方から「ゴーリ、ゴーリ」という謎の低い金属音のようなものが響いた。町田がやっている仕事にそんな音を発する工程など一切存在しない(だって切るだけの仕事だから)。一体町田は何をやっているのか、慌てて町田を見に行ったワイが目にした光景とは!?・・・・次回へつづく。

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