溝 その7

仕事シーズン2・下

溝 その6(前回の記事)

 今回の事とは全く関係ない話をし始めて、ただでさえお通夜会場なのにプラスして「なにこいつ」的な雰囲気が漂っていた。

小学生の方がマシ

 この空気の中で社長は、

「後藤さんに今回の仕事は全部任せる。成形も検査も箱詰めも全部後藤さんがやるんだから、他の誰にも負担かからないじゃない。もう私はそう決めたんで、新しい仕事はこの会社でやりますんで」

と宣言した。みんなの中に諦めが生まれた。だって、何言ったって「新しい仕事をやることがすでに前提となっている」んだもんな。「もうダメだ」という空気になり、この場は誰から言うでもなく解散になってしまった。
 それにしてもこの社長という男、頭の中お花畑すぎるやろ。後藤に全部任せれば誰の負担にもならない?むしろ後藤に任せることで余計に負担が増える未来しか見えなくて草。だって、今までの後藤見てたら分かるじゃん?基本的な事もミス連発で、しかも時間がかかる。やっても不良品の割合が多いから、結局女性陣は従来以上に時間をかけての厳重な検査が必須だったワケで・・・・・・。
 みんなが検査室に戻った後、ワイは事務所での仕事があるのでそのままその場に留まった。ワイが仕事をしているとまだその場にいた社長が、喋り足りないのか遠くから椅子に座ったままワイに話しかけて来た。

「今回の仕事は後藤さんに任せれば良いんだよ。なにみんなそんなに心配してるのか分からない。それにこうすれば後藤さんに『仕事、今日は何やらせようか』って迷わなくても済むじゃないの」

 えっと、ワイにはなぜオマエがそこまで能天気でいられるのかが理解出来ねえんだが。と思っていたら、こいつとんでもねえこと言いやがった。

「今回の仕事は単価が良いから儲かる。100円越えだから。しかも、注文数見てみると、人がいる間は動かしっぱなしでいられる。まあ、金具代は半分くらい持ってかれて買わなきゃいないんだけどね~」
 
・・・・・・ちょっと待ったああああああ!!!!!「単価は良いけど金具代は実費」だとお?????こいつ大丈夫か?本当に頭大丈夫か??おっと、取り乱しちゃったテヘ☆さて、よーく考えてみよう(本来ならよく考えなくても分かる)。
 細かい単価はともかくとして、仮にその製品(これからこの製品の事を『ハンドルU』と呼ぶことにする)が100円だとしよう。そこから金具代50円を差し引くと、残りは50円。ここからちょっとゲスい話になる。後藤の給与額は不明だが、30万と仮定する(今までの経験則から割り出した値)。後藤はこの仕事を専属でやる予定なので、最低でもこの仕事の利益は月に30万以上必要ということになる・・・・・・ここまではオッケ?
 さてここで次に問題なのは、ハンドルUを1日に果たして何個作れるのか、ということである。1個の成形時間を、今までの経験則から1分と仮定する。そうすると1時間に約60個となり、後藤の就業時間いっぱいの8時間稼働させたとすると1日に480個前後という計算になる・・・・・・ここまでオッケ?
 そうして1カ月の会社稼働日数を比較的多めの25日間に設定した場合、12000個作れる計算となる。それに単純に単価の100円をかけると売り上げは120万円になるわけだが、半分は金具代に消えるので60万円になる。更にそこから後藤の給与30万円を引くと残り30万円。更にそこから電気代や原材料費が引かれ、最初に機械を稼働させたり、トラブルがあった時に対処するのは工場長のXだということでその分の人件費も引いた場合のお値段は・・・・・・おいwwゼロどころかマイナスまであるやんけwww最初から計算おかしいだろwwww
 しかし上記は、あくまでも後藤が「一切滞りなく、不良も出さずに8時間きっちり仕事をこなした場合の計算」。不良を出しても金具は買い取りで、冷え切った固い樹脂の付いた不良の製品から金具を取り出して再利用するのは物理的に不可能。しかもXが忙しすぎて、1日に8時間きっちり動かすのも難しいと思われる。今までの経験則上成形機の調子が悪い日だってあるだろうし、金具や原料が期日通りに入ってこないこともあるだろう。そして成形している1分間の間に、後藤が諸々の仕事(ゲートカット、検査、箱詰め)をきっちり終えられるとは到底思えない。それに加えて高騰する電気代。

 恐らくバカ社長は「売り上げ120万」だけに目がくらんでこの話を強引に推し進めようとしている。ねえ、「経費」って言葉知ってるう???最初からマイナスでしかないでこりゃwwうはwww死亡確定wwww次回へつづくwwww

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