地獄の2カ月 その7

仕事シーズン2・上

地獄の2カ月 その6(前回の記事)

 もしかしたら町田はASD(自閉スペクトラム症)なのではないかと考え始めたワイ。ただ、もし仮にそうだとしても町田自身は年齢が60を超えており、恐らく「発達障害」という概念が存在しない中で人生の大半を過ごした可能性が高く、診断もついていないのではないかと思われる。これは何の体制も整っていない弊社にとっては大きすぎる問題なのだが・・・。

人のこと言えないのでは・・・

 ワイはこの事を工場長のXに相談することにした。もちろん、Xの頭で理解できる可能性が低いのは分かってはいるが、今後の会社での仕事のやり方にも関わってくる話であり、社長にも話を通さなければならない重要案件なため仕方なく、だ。ワイはXに思っている事を話した。そしたら案の定「発達障害ってなに?」というお答え。ワイは医者ではないため、この答え方が本当に正しいかどうかは判断が付かない事は許していただきたい。

ワイ「生まれつき脳の機能が上手く働かなかったり、弱い部分があったりしていわゆる「一般の人」とは考え方や行動が違うらしいよ。私も専門家じゃないんだから、Xさんも家帰ったらスマホで調べてほしい」
X「それって、つまりどういう事?」
ワイ「・・・いや、だから先天的な脳機能障害があるんだってばよ」
X「それって生まれつきって事?」
ワイ「そう」
X「・・・でも努力しないなら甘えじゃない?」

ワイ「だからそうじゃないんだよ家帰ったらお前もスマホで調べろっつってんだろ」

 おっと、余りにもアホな事言うのでうっかり地が出ちまったぜ。しかし、この情報社会の世の中で時代錯誤の「甘え」という言葉。どうして生まれつきのものを「努力」だけで治せると思うんだよ。こんだけ馬鹿でも分かるようにかみ砕いて話してやってんのに理解できないとかお前の頭やべぇぞ。

ワイ「で、仮に発達障害だとすると今までのやり方や教え方は通用しないから、社長が立てた計画で仕事を進めるのは無理。つまり仕事内容を替えなければいけない、もしくは簡単なマニュアル等を作成して根気よく教えるしか無いワケだけど、ウチの会社にはそんな余裕が無い。社長は町田さんの事を全く知らない状態でこちらに丸投げしてるわけだから、社長に報告しなきゃだめだと思うわ。このままじゃあ共倒れになるよ。町田さんの事をどうするかは社長の判断になるけど」
X「でもどうやって社長に言えば良いの?」←工場長なんだからそんな事くらい自分    で考えろ馬鹿。
ワイ「そんなもん、町田さんの事についてお話があるので時間取ってもらえませんかって言えばいいんじゃね?」

X「じゃあ、明日電話する」←今すぐしろよ馬鹿

 という事で、一応明日にXが社長に電話するらしい(もはや疑いの目でしか見られない)。そういえば・・・ワイはふと思った。町田って押し出し成形出来るとか、同業の仕事やった事あるとか言ってたけど、それが本当なのかどうなのかも社長は確認を取らないまま本人が言ったことを鵜吞みにして町田を採用している。もし、町田が前職でどんなことをやっていたのかを詳しく知ることが出来れば、もしかしたら弊社でも出来る事のヒントになるかもしれない。そう思い立ったワイは、町田が全然進まないバリ取りをやっている所を話しかけた。

ワイ「町田さん」
町田「ハイ」
ワイ「手を止めてもらって事務所でちょっとお話しませんか?」
町田「ハイ」

 町田は素直に事務所に付いてきた。椅子に座ってもらい、向かい合わせの状態でワイは話を切り出した。

ワイ「実は私たち、町田さんの経歴について何も社長から聞かされていないんです。だから、町田さんがどんな人なのかも分からない。こちらも町田さんの事知りたいので、良かったら詳しくお話してもらえませんか?」

 町田は「分かりました」と言って自分の経歴を語り始めたが、そこには驚愕の事実が・・・・。次回へつづく。

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