さて、ミスを繰り返すY社に対して厳しい目を向ける田中さんだが、そこにはミス連発だけが理由ではない、更なる深い(不快とも言えるが)ものが根底にあった。
反省とはなんぞや
協力会社のミスが取引先や更にその先のメーカー側で見つかった場合、「対策書」の提出を求められる。この「対策書」とは、どのような理由でミスが起こったのか、ミスをしたのは誰か、ミスに対しての今後の改善策は?等を書かなければならない、一種の反省文のようなものだ。当然ながら、人間がやっている以上ミスが起こることは先方も分かっている。ただ、そのミスの数をゼロに近付けるのが理想である。何気なく起こしてしまうミスをちょっとでも防ぐため、意識付けとして「対策書」は有効な手段と思われる。
当然ながら弊社もミスはゼロではない。パートタイマーの確認ミスやマニュアルを見ずにうろ覚えな状態で作業してしまい、ミスをやらかすケースが多い。あと、これは一番ダメなのだが不良品の見逃しもぼちぼちあり、返品を食らうこともある。当然その場合も「対策書」の提出を求められる。
対策書に限らず、資料には先方が定めた「提出期限」というものが存在する。期限は大体10日~2週間程度で、十分に余裕のある設定だと思われる。弊社はちょっと過去からの色々な流れで、パートタイマーのミスであろうと何故かワイが全てを考えて、翌日にマッハで提出していた(ワイが全てをやっている理由については、また別記事で)。翌日に対策書を出す理由は簡単である。「素早く提出した方が、先方からの信頼を取り戻しやすい」からだ。ミスが起きても素早く対処しているせいか、特に田中さんから厳しい事を言われた事は一切なかった。
一方、このワイの考えとは全く正反対の行動を取る奴がいた。そう、社長である。そもそもY社の対策書の提出過程がかなりおかしい。Y社というのは、1つの仕事の過程を全て1人でこなすスタイルである。それ故、納期が迫っている製品を担当している人間が突発休を取った場合などでも、他の人間がその製品に手を付ける事は無い。それに対して皆で一斉に納期の早い製品を分担して片付けるのが弊社のやり方だ。弊社はY社に比べて人数が少ないため、Y社のやり方はそもそも不可能なのだ。
そんなY社のやり方を社長は常々から「1人1人が特定の製品のプロフェッショナルになってもらう」と、ふざけた事を抜かしていた。その割にはミス連発のようだがそれは一体・・・。軽々しくプロとか言ってんじゃねぇぞ。そして、ちょっと前にも書いた通り、対策書の提出過程がかなりおかしい(大事な事なので2度書くぞ)。
Y社の場合、まずミスが起きたら皆にミスの内容を周知させる。ここまでは弊社と一緒(周知させることでこんなミスもあるのかと再認識できる)。問題はここから先だ。Y社は1つの製品を個人が責任を持って最初から最後まで仕上げる体制になっているにも関わらず、誰かのミスに対しての対策をなぜか皆でお茶やお菓子を嗜みながらリラックスムードの中で話し合うという謎の儀式を行っている。これには疑問を抱かざるを得ない。
個人の責任でやっているならミスした本人に対策書を書いてもらいその内容を社長が承認した上で皆にシェアするべき(だってプロなんでしょ?)。そして個人の責任を皆に分担させる体制は、ミスの少ない人間の不公平感を募らせる原因となる。更に皆で集まってグダグダやっている時間が無駄。納期遅れの常連なんだから自覚しろよ。というか、そもそもそういう体制にしてるのは社長自身なんだから、社長がミスした本人と話し合って対策書を書いて行けば良いだけでは?
「1人だけを責めると会社に来るのが嫌になるかもしれないから」というのがこの体制にした理由らしいが、そもそも「責める」という発想がおかしい。やるべきことは本人への注意喚起と再発防止の徹底なのであって「責める」事ではないはずなのだが。それに、対策書の欄に「ミス発生時の担当者の名前」を書かせるのは本人に自覚と責任を持ってもらうためのものでミスの抑止力に繋げようというのが先方の狙いなのだが、皆で仲良しこよしで対策話し合ってたんじゃあ、ミスした本人も「ミスしてもこの程度で済むんだ」という認識になり、同じ失敗を繰り返す事になる。取引先が狙う効果を打ち消してどうするよ?そして、菓子を食いながら対策を話し合うとか論外ですわ。
そして、問題は更にその先。先ほども書いた提出期限。Y社はこの「提出期限」通りになかなか書類を提出しないのである。常にギリギリ、もしくは期限が過ぎて先方から催促されてやっと提出。ただでさえミスして信頼落ちてんのに、誠意を見せるチャンス(対策書の早期提出)を自ら逃していくスタイル。Y社はこのような事を繰り返していた為、K社からの信頼は当然ガタ落ちだった。
このような事からも分かるように、社長には「誠意」というものが全くない。この誠意のなさが先方にも伝わり、Y社は自分で自分のクビを締めに行くスタイルを確立していた。次回へつづく。

