零細企業と長時間労働 その1

零細はつらいよ

 外食産業やITなんかは長時間労働のことが前から囁かれているが、実は製造も同じである。長時間労働なんか本来ならばしたくないしやるべきではないのだが、そこには「やらざるを得ない事情」があるのだ。

 働き方改革?何それ美味いの???

 製造が長時間労働にならざるを得ない理由は主に2つある。1つは「絶対的納期優先」の考え方によるもの、もう1つは「そもそも業界的に給与水準が低い」ということが挙げられる。詳しく解説していこう。

1.絶対的納期優先の考え
 何が何でも納期に間に合わせる、という事である。しかもこの納期、しょっちゅう変わる。基本我々の業界の納期は、大体受注日から7日~10日後が目安となっている。が!納期なんぞほとんど当てにならず、かなりの確率で納期は短縮される。これは全部メーカー側の都合によるものである。例えば納期は1週間後だから3日後に成型すれば間に合うと思っていたら、「4日後までにほしい」みたいなのが常態化している。
 ただでさえ短い納期が短縮されるほど辛いものはない。製品は、受注を受けた直後に作れるものではない。そもそも成形機に空きがないと無理だし、原料も在庫がなければ発注することから始めないといけないのだ。原料もすぐ入ってくるわけではなく速くて翌日、在庫がなければ半月後なんてこともざらだ。
 作り始めるまでにタイムラグがあるため、例えば10日後の納期だったとしても週末の休みも含めて考えると、実質稼働日は最長で6日くらいだろうか。常にギリギリで仕事を回しているのが実情なのである。しかも、零細には、正社員ではなく社会保険をかけなくても済む「パートタイマー」が主な人材として雇われている場合が多く、当然早出や残業はやらないし休みもキッチリ取る彼女達は、いざという時は頼りにならない傾向がある(パートタイマーについての考察は、後に書きたいと思う)。その部分のカバーは当然ながら社員がやることになり、自分の仕事+パートがやり残したり、休み明け月曜日に納期が迫っているものを一人でせっせことやる羽目になるのである。それには早出や残業、休日出勤などが不可欠なのだ。
 1人で必死にやっている最中にふと我に返って、何やってんだ、ワイ・・・などと思う事もしばしばある。ここ数年、早出残業をしなかった日が思い出せない・・・(´・ω・`)

2.そもそも業界的に給与水準が低い
 製造は、かかる手間の多さと中抜きのせいで業界的に儲かりにくい構造になっているので、給与水準は低めに設定されている事が多い。早出や残業などをして、初めて人並みの給料といった感じである。そして、これが罠なのだ
 そもそも、製造はちょっと前に書いたように、納期は絶対厳守が基本である。つまり、早出や残業は業界の宿命でもあり、切っても切れない関係なのだ。
 中には「早出残業やだよ~」っていう人だって当然いる。ところが給与水準を低めに設定しておけば、せめてその月の給与が人並みのラインになるまでは自ら積極的に早出残業休日出勤をするようになるのである。もちろん、ちゃんと時間外労働で割増したお給料は出るけれど、元々の給料が少ないんだから別に誉められたことではない
 この「自ら積極的に時間外労働をする」というところが、非常に厄介なのだ。経営者側は、例えばある時いきなり労働時間に関して労働基準監督署に立ち入られたとしても、「いや、私は無理するなって言ってるんですが、従業員が積極的に長時間労働してるんですよねぇ」と言えるのである(それで許されるわけはないのだけれど)。つまりは、従業員自らが積極的に時間外労働をせざるを得ない環境を作ることで、逃げ道を作っているに他ならないのである。

 「私は、そんなに働けとは言っていない」
 これは、零細の社長が良く吐くセリフである。実際に私も2回言われている。しかし、人を雇う事を渋り、雇っても使えない人間だったり完全に会社のキャパシティーを超えた仕事量を受注しておきながら納期に間に合わそうとすれば、長時間労働になるのは当然である。それを、あくまでも個人の勝手で長時間労働やってるだけとは何事か。呪うぞ

 こうやってワイは更に強力なゾンビと化していくのであった・・・。



 

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