さて後藤のカーポートを塞ぐ作業が一応終わってしまったため、バカな社長はまた後藤に何をさせるか頭を悩ませていた。そこで思いついたのが、仕事を増やせば工場長も手が回らなくなって後藤がやる仕事も増えてくるであろう、という浅はかすぎる考えだった。
利益が出てこその会社
前回書いた通り、社長は全く儲からなくて工数だけがやたらと多い(=経費がその分かかる)、取引先が「自分たちでは絶対にやりたくない仕事」を、アホみたいに取ってくるようになった。しかも、現場の我々の状況を伺ったり相談することもなく、ある日勝手に「仕事取ったから」と事後報告してくる始末であった。
ぶっちゃけ新たに取って来た仕事で儲かり、我々に還元されるのであれば忙しくても頑張ろうと思える。だが現状はどうだろうか。ボーナスは半額になったまま、次から次へと仕事が湧いてくる割には全く儲からずそれに対して社長から愚痴をこぼされる。忙しくても利益がないから人は増やせない、金食い虫の後藤だけはどういうわけか大事にされる・・・・・・地獄すぎて草。
ぶっちゃけ、利益が出ないのは従業員のせいではない。だって、我々は陰で不満を言いつつも社長に指示されたことは100%遂行してきたからだ。それなのに利益が出せないということは、社長の方針がそもそも間違っていたことの証左。にもかかわらずそこは見て見ぬふりをして従業員に責任を押し付けてくる今の状況に、我々は不満がたまっていった。
一方工場長のXは、社長に「仕事増やしたから後藤さんにまた仕事させて」と指示されてしまい、再び後藤に前のように通常業務をやらせる羽目になっていった。もちろん今まで出来なかったものが急に出来るわけもなく失敗の連続(しかも基本的な部分)で、後藤との接触時間が一番多いXにもまた強度のストレスが降りかかってきているようであった。
こうしているうちに、朝のワイとXとのミーティング内でXは弱音をこぼすようになっていた。そりゃそうである。仕事が全く出来ない人間に無理やり仕事をやらせて不良品を量産したり、無駄に時間ばかりかかっているような状態。これじゃいくら自分たちが仕事をきっちりやってても、後藤のせいで全て帳消しどころかマイナス状態になってしまってるんだから。前よりもなんかげっそりしているような感じもするし、「夜なかなか眠れない」といったようなことも言い出していた。
そんな風に弱音を吐くXを、半ば同情はしつつも少し冷ややかな目で見ていたワイ。冷たいと思うかもしれんが、これにはワイなりの考えがあったのだ。

