地獄の2カ月 その15

仕事シーズン2・上

地獄の2カ月 その14(前回の記事)

 仕事が出来ない町田を完全放置する社長と工場長X。しかしパートタイマーから文句が出始め、ワイが対処する羽目になる。そんな中、町田のいるブースから謎の金属音が響き、慌てて見に言ったその先に見えた光景とは・・・!?

これは対処不可能

 ワイがブースに入ると、町田は同ブースに置いてあったダイヤモンドヤスリで何とニッパーの刃を「ゴーリゴーリ」と削っていたのである。弊社で使っているニッパーはホムセンなどでは市販されておらず割と値段が高いものである。しかし、刃を研げば何回でも切れ味が復活する物なのだが、そんなお高いニッパーを何しちゃってんの。

ワイ「ちょ!町田さんストーップ!!!!」
町田「(ビクッ・・・)」
ワイ「何やってんですか!????」
町田「・・・上手く切れないんで研いでます」←声ものすごく小さい
ワイ「それ、研いでるんじゃなくて削ってます。余計に切れなくなりますよ?」
町田「・・・・・」


 仕方がないので、新品の切れ味抜群なニッパーを貸すことにした。そして、もう一回ゲートカットのやり方を教えて、一応Xに報告。

ワイ「町田さんがかくかくじかじか」
X「それ刃が削れて切れなくなるよ」
ワイ「だから、工場長からも注意しておいて?」
X「オレ、あいつの事見捨ててるから知らん」
ワイ「・・・(こいつ首絞めたろか)」

 だめだこいつ腐ってやがる・・・。ってことでワイは自分の仕事に戻った。それから約15分後、またもや町田のブースから「ゴーリ、ゴーリ」という例の金属音が!慌てて町田を見に行くとやはり先ほどと同じくヤスリでニッパーの刃を削っている。ワイは慌てて町田を止めた。

ワイ「ストーップ!!!ヤスリかけちゃダメってさっき言ったじゃないですか」
町田「・・・切れないんで・・・(すんごい小さい声)」
ワイ「いや、新しいニッパーなんで切れ味抜群ですよ?」
町田「・・・・・・・」


 ワイは町田の前でそのニッパーを使って製品を切って見せる。当たり前だがスパッと綺麗に切れる。一方の町田の切った製品を見てみると、切り口が残っている状態。これはニッパーの刃が切れる切れないの問題ではなく、製品に対する刃の当て方、角度、力の入れ方の問題なのだ。マニュアル化出来ないこの単純作業をどれだけ教えても町田は習得出来ない。出来ない物はもはやどうしようもないので、町田に「切り口は残ってもいいですけど、絶対に切りすぎないで下さい。修正出来なくなって不良品になってしまいますので・・・」と指示して、綺麗に切ってもらうのは諦めるという方向に切り替えることにした。てか、もうそれしか選択肢ないんだが?町田は小さい声で「・・・ハイ」とだけ言った。
 やれやれ、後で修正は必須だが遊ばせるよりはマシだろうと自分に言い聞かせ(本当は全然納得してない)ワイは自分の仕事に戻った。・・・・・が!GA!皆さんもうお分かりですね?ワイが自分の席に戻って約15分後、町田のブースから再びあの金属音が響いてきたのだ。ソッコーで町田を止めに入るワイ。本当はダイヤモンドヤスリを隠すのが一番良いのかも知れないが、大量にありすぎてずらすのも不可能な状態。
 ワイはもう一回、町田にニッパーにヤスリをかけないように念押しして自分の席に戻った・・・が!GA!(あれ??デジャブ?)そうです、約15分後再び例の金属音が・・・。そして止めに入るワイ。さすがに「発達障害(ASD)だから配慮しなければ・・・」と思っていたワイも強めに注意せざるを得なくなってしまった。「町田さん、上手く切れないのはニッパーのせいじゃなくて、町田さんがゲートカットを上手く出来ないからです」と言ってしまった。注意の仕方としては最悪な部類に入るのだろうが、もはや配慮していられる精神状態ではなく、自分の仕事も抱えつつ町田の面倒を見るも誰も助けてもくれずイライラMAXだったのは否めない。だが、こんなやり取りがあった後も数回同じ行動を町田は取りその都度ワイが注意する始末。仕方がないのでXに許可を取ってその仕事は止めてもらい掃除をしてもらうしかなかった。おそらく、上手く切れない→自分は言われた通りにやっている→じゃあ道具が悪いんだ!→ヤスリかけて研ごう!(研げてない)というのが町田の思考回路なのだと思われる。発達障害特有のこだわりみたいなものも感じ取れる。
 その後、やっと型替えが終わり機械を町田にやってもらっていた(ワイとXの後処理必須)のだが、そこで町田は金具の入れ間違いをしてしまい、せっかく動かせたと思った機械がストップしてしまった。継続して動かせるのか、修理しなければならないのか調べるX。その待ち時間の間も町田にやってもらえる仕事は存在せず、Xの事をボーっと見つめて突っ立っているだけで謝る事すらしない町田を見て、ワイは「もう面倒見るのムリ」と思った。運良く修理は必要なかったようでその後継続して機械は動いたが町田が唯一出来ると思われていた金具入れすら失敗してしまい、一体彼は何のために弊社にいるのか、そしてワイは何のために町田の面倒を見ているのか分からなくなっていた。
 その日の夕方パートタイマーも町田も帰った後、ワイとXは今日町田がやった機械で出来た製品の後処理をしていた。本来ならば今回のように機械にトラブルが発生した場合や、金型を替えているその間の隙間時間に町田にやってもらうはずの後処理だ。町田がいる限り、この作業はワイらが残業して町田の代わりにやらなければならない。考えるだけでめまいがするぜ・・・。

 その時だった。社長から電話が入り、近くにいたXがそれを取る(ナンバーディスプレイなので相手分かる)。社長の話を聞きながら「えっ?えっ?」を繰り返すX。10分ほど話した後、電話は終わった。変な顔をするX。「どした?」と聞くワイにXが話した衝撃の内容とは・・・次回へつづく。

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